アマ作家日記3【異常性】

フィクション上の、【異常性】について。

僕はエロ作家ではないが、よく【姉×弟】だとか【女×女】だとかを使う。

現実に有り得ない、というと偏見かもしれない…身近でない、または現実世界では法律的にヤバイと言い直そう。

とにかくそういうのを扱う。

ただしあくまで【ギミック】としてである。
料理で言えばスパイスか、隠し味か、付け合わせといったところだ。

これがメイン食材だと【エロ小説】になるわけだ。
エロ小説はエロがメインだから、背筋がムズムズするくらいそれを生々しく描写すればそれでよいが、そうではないので、そのギミックで何かを表現するのである。

たいてい、そのような批判の的に成り兼ねないギミックを敢えて使うのは、好感の持てる異常性の演出である。

別に弟を守って倒れた兄貴でも構わないのだが、そこには異常性がない。現実に有り得そうで面白くないのだ。

そこで姉を守って倒れた弟にしてみる。しかも、弟は死ぬ間際、姉を姉としてではなく、一人の女性として本気で愛していたことを告白する。姉は死にゆく弟の身体を抱きしめながら、気付いてやれなかった自分を心の中で詰り、そして愛する弟を殺した相手に復讐を誓う。以後、姉の心は弟でいっぱいになり、弟は姉の中で永久に生き続ける。弟が力無く事切れると、姉は弟の冷たい唇にそっとキスをする…。

…と、こんな具合である。
異常である。現実にいたら完全に倒錯している。

だがこれも感動のシーンになってしまうのである。感動が異常性に強められ、その嫌な感じを掻き消して、後には感動が残るのである!

異常性は、このように感動と一体化して臭みが消える。もしかしたら、感動の臭みを消しているとも言えるかもしれない。お涙ちょうだいみたいにならない効果もあるかもしれない。その意味でも危険なスパイスである。

たまには好感のもてない異常性も、背筋が凍り付くのでよい。

殺した相手の死体を犯す狂気のネクロ・フィリアだとか、人体の一部をコレクションする解体趣味の殺人鬼だとか…現実にいたら怖すぎるが、フィクションの悪役にはこのくらいがちょうどいい。

怖さを演出する異常性である。この場合は異常でなければ怖くないとも言えるかもしれない。

とにかく印象的なキャラだとかシーンを作るには、時として異常性がとても効果的なのは薄々わかってもらえただろう。

世の中に有り得ないものを書き出すには、何が世の中に存在するかを知らねばならない。これからの課題の一つだ。頑張ろう。

待て次回!(笑)