アマ作家日記2【弟キャラ】

菊池蘭童作品の定番(?)の【弟キャラ】について。

ある時から、弟キャラにはまっている。
弟キャラとは、僕の中での定義は以下のようになっている。

○姉がおり、【お姉ちゃん】と呼ぶ。
○姉と非常に仲が良い、または姉をとても慕っている。
○姉を守るためなら身を投げうつ覚悟がある。
○甘えん坊である。それを隠している場合もある。

この4項目。
もちろんこれには魅力的な姉キャラが付随することになるが、そちらは定義はほぼない。色々な場合がある。

ペアとして動くキャラの片方にのみテンプレートを設けるのは、多様性を維持しつつ一定の作風を貫きたいという狙いがある。

さて、いつから僕が弟キャラにはまっているのかというと、きっかけは【子供郷】という未発表作品に着手した時だった。

シーザンというキャラクターが登場する。主人公のライバル的な存在で、二本の剣で戦うクールな双剣士。幼い頃の記憶の無い少年、という役柄である。
一見、テンプレートに当て嵌まる部分はない。というか、最初はそういう予定ではなかった。

この【幼い頃の記憶が無い】という設定は、陰惨な過去を持たせて初めて動く。そこでベタに【親に捨てられた】と発想したが、何か足りなかった。

そこでプラスして、【実の姉を本気で愛し、その姉の手で記憶を消された】とした。

グッと陰惨になった(笑)

そこからシーザンの姉、魔女シルフィのキャラが誕生した。

魔女シルフィは、母にして魔女族の長・大魔女シルクスに付き従う右腕。だが冷酷非情な行いの数々に良心の呵責を感じている。
そこで二人の弟を愛情をもって世話をすることでせめてもの罪滅ぼしにしていた。

が、その双子の兄弟のうち一人を殺すように命じられる。

泣く泣く一人を殺したシルフィだが、残った一人、シーザンは別邸に移し、母の手が届かないところで大切に育てる。

だがシーザンにも母の魔の手が及び、やむなくシルフィはシーザンの記憶を消して人間の街へ。信頼できる人間に弟を託す。

…というキャラになった。
ストーリー上、二人が再び出会うまではシーザンはクールなキャラだが、出会ってからは一変、弱点のあるキャラになる。

シーザンは他の女性、神官ホーリィと結ばれるのだが、彼の中で姉の存在は大きく、それがホーリィとの仲に暗い陰を落とす。

ネガティブな弟キャラの使い方である。
いつもはクールなキャラが、姉の前ではたじたじ。そんなシチュエーションがGOODである。
まあ、このストーリーの場合は姉シルフィは死んでしまうので、特殊なタイプである。

ストレートなのは、今執筆中で次回全体会にプロット出す予定の中編【秘密基地】に登場する兄弟姉妹の末っ子、リーヴェである。

主人公で脱走兵のシンは、孤児を集めて家族を築いた。
兄弟姉妹のように暮らす五人の子供も末っ子リーヴェは、姉で母親役のピースにべったり。いつも彼女のエプロンの裾を掴んで離さない。

というもの。ストレートである。

前述のシーザンは弟という【色付け】であったが、このリーヴェは弟が【アイデンティティ】である。

このように人の弱く、甘えた一面を書き出すとき、弟、というのはちょうどよい。

そこに強さというギャップを加えることもあれば、甘えの抜けないダメな奴をそのまま描くこともできる。

僕の中で大きな意味を持つ設定【弟キャラ】。
これからも事あるごとに登場するので、【またか(笑)】と思ってくれたらうれしいかぎりである。